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4月に「解雇」に関する厚生労働省の労働政策審議会労働条件政策分科会での調査資料が公表になっていましたので、こちらについて記したいと思います。
【参考:労働政策研究報告書No.226 労働審判及び裁判上の和解における雇用終了事案の比較分析】
どういった調査なのか?
令和2~3年の2年間に終局した労働審判(※)の調停・審判事案、裁判上の和解事案、計1200件について調査を行いました。
(※)労働審判:労働者と事業主との間で起きた労働問題を労働審判官1名と労働審判員2名が審理し、迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする裁判所を通じた手続きです。期日が原則3回までと決まっている分、早く解決する可能性があり、費用が安めです。
労働者の属性について
労働者の属性について掲載されていましたが、男性と女性の比率では男性の方が多くなっています。
ですが、平成の調査に比べて裁判上の和解や労働審判を行う女性の比率が急激に上昇したということでした。
女性の社会進出が進み、そういった影響が出たのかもしれません。
また、もっとも平成時と差が出たのは労働者の勤続年数です。
平成時に比べ、勤務年数が半減したとのことでした。
それ以外の役職、雇用形態などは平成時の調査とさほど大きな変化はなかったようです。
会社への請求金額
労働者側が会社へ請求する和解の金額の平均値が掲載されました。
裁判上の和解における総請求金額の平均は約840万円、労働審判における総請求金額の平均は約290万となりました。
実際の解決金
では、実際の解決金額はどの程度になっているのでしょうか。
裁判上の和解は平均値で6,134,219円、労働審判は平均値で2,852,637円となっていました。
この金額は、裁判・労働審判どちらにおいても平成時の調査より急激に上昇しているとのことです。
一方的な「解雇」は労働者の権利保護の観点から、有効になることは極めて少ないのが実情です。
労働者が「納得できない」「不当だ」と言い出した場合、上記のような多額の和解金が発生する可能性があります。
試用期間中でも同様です。
いかがでしょうか。
解雇は労働契約のいわば解約です。解約には、労働者側も納得のできる内容であり合意が得られなければなりません。
最後までお読みいただきありがとうございました。