令和4年から法改正された育児介護休業法。改めて従業員が出産や育休をした場合に、どういった手続きが必要となるのかを整理して確認しておきましょう。
従業員からこのように申告があった場合、まずどのように対応したらよいのでしょうか。
・出産予定日
・最終出社予定日 ・復帰の有無(復帰する場合は復帰予定日) ・育児休業の取得希望 |
確認の際、口頭ではなく産前産後休業届を書いてもらう方が安心です。
主に産前休業は42日間(多胎妊娠は98日間)、産後休業は56日間を目安にとるのが一般的です。(後述の出産手当金に関連)
法律上、産後休業期間の56日(医師の証明がある場合は42日)は必ず取得させなければなりません。
産休に入る事が決まった場合は、休業中の対応などを従業員と確認します。
・休業後に必要となる書類の用意のお願い
(例:母子手帳のコピー、給付金の振り込み希望先など) ・休業中の連絡先の確認 ・出産日確定の連絡 ・出産育児一時金など本人が申請するものの確認 |
では、企業側が申請をするべきものは何かを記します。
【出産手当金(健康保険)】
出産予定日以前42日(多胎妊娠は98日)・出産日後56日の期間に、賃金が発生しない産前産後休業をしている場合に支給されます。出産日は産前の42日に含まれます。
では、出産予定日がずれた場合どうなるのでしょうか。
予定日より前に出産した場合には、出産日以前42日・出産日後56日が範囲となります。ですので、予定日前きっちり42日前から休業を開始していた場合は、出産日以前の日数が42日より少なくなります。
予定日より後に出産した場合は、出産予定日以前42日+予定日から出産日までの遅れた日数+出産日後56日が範囲となります。この場合は、遅れた日数分だけ上乗せして支給されます。
出産手当金には、産院の証明を記載する欄があります。ですので、事前に出産手当金の書類を従業員に渡しておくとスムーズに手続きができます。出産報告を従業員から受けたら、必要事項を記入した上で会社に郵送するように伝えておきましょう。出産手当金は、全国健康保険協会又は健康保険組合へ原本の提出が必要です。
また、会社側が証明する賃金や出勤状況に関して記入する欄もありますので、給与明細や出勤簿の用意も必要になります。
【社会保険料の免除(健康保険・厚生年金保険)】
産前産後期間は、健康保険・厚生年金保険に加入していながらも保険料が免除されます。これは、被保険者と事業主双方に適用されます。正式名称は、「健康保険厚生年金保険被保険者産前産後取得者申立書」です。
期間としては、産前休業を開始した日の属する月から産後休業を終了した日の翌日が属する月の前月までです。月単位の期間となります。
例えば、産前休業を5月9日に開始し、出産日は6月19日、産後休業が8月14日で終了するとなると、5月から7月までが保険料免除期間となります。
出産前に提出した場合は、出産日確定後に出産日がずれていたら変更届を提出する必要があります。
また、出産後に提出する事も可能ですが、その場合は産後56日以内に提出を行います。
【扶養加入手続き(健康保険)】
被保険者が出産後、配偶者側の扶養に入る場合は不要ですが赤ちゃんを扶養に入れたいと希望があった場合は、手続きが必要です。
その際、お子様の名前・出産日やお子様と被保険者両方のマイナンバーの提出が必要になりますので、被保険者に伝えておきましょう。この手続きを行わないとお子様の健康保険証が発行されないです。
【給与所得者の扶養控除(異動)申告書の変更手続き】
社会保険や労働保険ではありませんが、お子様を扶養にいれる場合は所得税や住民税にも影響するため扶養控除(異動)申告書に追加記入しなければなりません。
住民税は前年の所得が反映されるため、お子様を追加した場合はその翌年に変更となります。
今回は産前産後期間を主に記しました。次回、育児休業期間に関して記したいと思います。
産休育休は手続きが多いため、分かりづらい部分もあると思います。
弊事務所で労働保険・社会保険の手続きを行う事ができますので、お困りの際は是非お問い合わせください。