労務関係

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2022.12.22   労務関係

就業規則についての基本事項を確認しましょう

当ホームページをご覧いただきありがとうございます。

今回のテーマは「就業規則」です。

就業規則は使用者が一方的に作成するもののため、労働者保護の観点から法律による一定の規制がかかっています。

労働基準法は使用者に対して就業規則の作成・変更の際に遵守すべき一定の法的手続きを課しているため、これらに違反した場合、使用者には罰則の適用があります。

正しい就業規則に関する規定をを知った上で、法違反にならない就業規則を作成しましょう。

就業規則って必ず作成しなければならないのですか?

労働者10人以上の場合は作成が義務となります。

作成義務

常時10人以上の労働者を使用している使用者は、就業規則を作成してそれを労働基準監督署長に届け出なければなりません(労基法89条)。

10人は、会社単位ではなく事業所単位で考えます。また、正社員のみではなく、パートタイマーやアルバイト等も含めて数えます。

違反した場合は、30万円以下の罰金となっています(労基法120条)。

10人未満の事業所だったとしても、就業規則を作成・提出することが望ましいでしょう。労働トラブルが発生してしまった場合には、就業規則の有無が重要になってくるためです。

就業規則の記載事項

記載事項には、「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」の2種類があります。

絶対的記載事項(必ず記載する事項)

①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における終業時転換に関する事項

②賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り、支払の時期、昇給に関する事項

③退職に関する事項(解雇の事由を含む)

相対的記載事項(事業主が制度化する場合には記載が必要)

①退職手当

②臨時の賃金・最低賃金

③労働者の食費・作業用品の負担

④安全衛生

⑤職業訓練

⑥災害補償・業務外の傷病扶助

⑦表彰・制裁

⑧その他その事業場の労働者のすべてに適用する事項(配転、出向事項など)     など

 

例えば、退職金や懲戒制度などを事業場で制度化するときは、就業規則に記載しなければなりませんが、制度化しない場合は記載しなくても差し支えありません。

ただし、制度化しているにも関わらず記載漏れなどがあった場合等は、罰則の適用があります(30万円以下の罰金 労基法120条)。

意見聴取義務

就業規則を作成または変更する場合に、民主的手続きによって選出された当該事業場の従業員の過半数を代表する者(過半数を代表する労働組合がある場合はその労働組合)の意見を聴かなければなりません。

労働者の意思を反映させるのが趣旨ですが、過半数労働者の同意を得る必要まではありません。過半数代表者の意見を記した書面を添付して届け出をすることになります(労基法90条1項)

違反した場合は、30万円以下の罰金となっています(労基法120条)。

届出義務

使用者は、作成・変更した就業規則を労働基準監督署長に届け出なければなりません(労基法89条)。

そして、届け出するときには、過半数代表者の意見書を添付しなければなりません(90条2項)

過半数代表者は、管理監督者ではない労働者の中から選任しなければなりません。

管理監督者とは、人事や労働条件の決定をする事ができ、事業主と経営において一体的な立場にある人を指します。

違反した場合は、30万円以下の罰金となっています(労基法120条)。

周知義務

使用者は、就業規則を従業員に周知しなければなりません(労基法106条)。

周知の方法は、3つの方法があります。

①事業場に掲示したり、備え付ける

②従業員への配布

③磁気テープ、磁気データ、その他これに準ずるものに記録し、かつ作業場に労働者がその記録の内容を常時確認できる機器の設置

 

なお、使用者が机の引き出しの中にしまっておいて周知していない「就業規則」には、法的効力が一切認められません。

周知義務に違反した場合も、30万円以下の罰金となっています(労基法120条)。

 

就業規則は、会社や従業員を守るためにも定めておくべきものですが、就業規則の作成・届出・変更に関して分からない点が多いと思います。

お困りの際は、ぜひ弊事務所にお問い合わせください。

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