労働保険

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2023.10.20   労働保険

賞与の控除額は月額給与時とどう異なるのか

弊事務所のホームページにアクセスいただき、誠にありがとうございます。

昨今、コロナ禍からの業績回復により賞与を支給又は再開する企業が増加しているかと思います。

賞与を支給した場合、通常の毎月の給与とは控除の考え方が少し異なります。

今回は、こちらについて解説していきます!

控除額はどのように異なるのでしょうか?

大きく異なるのは「社会保険」です!

そもそも賞与とは?

法的に最低賃金額などの規定のある給与と異なり、賞与には最低額などの定めはありません。

支払自体が任意なものであるため、賞与自体がない企業も多いと思います。

また、賞与の細かい規定は各企業で定めることができます。(例:支払日、支給額、支給対象など)

賞与に決まった定めはないのですが、社会保険上で賞与にある定めがあります。

社会保険における賞与の扱い

社会保険においては、「年3回まで」という定めがあります。

4回以上の支払を賞与として会社で定めていたとしても、社会保険においては給与扱いになってしまうため、毎月の給与に対する社会保険料が変動します。

つまり、賞与額が多くなると月々の給与に対する社会保険料も上がるということです。

賞与が支払われた場合は、賞与支払届を日本年金機構(健康保険組合加入の場合は、組合にも)提出しなければなりません。

賞与の社会保険料控除については、以下で詳しく解説します。

 

雇用保険料

雇用保険料は、月給時と同じ雇用保険料率を支給額に対してかけます。

 

社会保険料

健康保険と厚生年金保険で、賞与に対する社会保険料の扱いは異なります。

健康保険料

健康保険料の上限

年間573万円までの金額に対して保険料が控除されます。(4月1日~翌年3月31日)

例えば、夏季賞与で500万円・冬季賞与で100万円支給されたとすると、冬季賞与の27万円分には健康保険料はかかりません。

また、保険料がかからなくなったとしても、賞与支払届の提出はしなければなりません。

年3回支給された場合で、1回目500万円・2回目100万円・3回目160万円で3回目の賞与は完全に保険料がかからなかったとしても、賞与支払届の提出が必要になります。

健康保険料の計算

標準報酬賞与額というもので計算します。

標準報酬賞与額とは、支給された総賞与額の1,000円未満は切り捨てた額です。

(例:5,005,500円の時は、5,000,500円)

標準報酬賞与額×健康保険料率

健康保険料率は、加入している健康保険組合や協会けんぽで定められています。

介護保険料

健康保険料と同様の扱いです。計算方法も同じです。

唯一異なる点とすれば、介護保険料率は全国で一律の18.2/1000です。

 

厚生年金保険料

厚生年金保険料の上限

健康保険料と異なり、厚生年金保険料は各月150万円が上限になります。

例えば、1回目500万円・2回目100万円・3回目160万円が賞与として支給された場合、健康保険料は3回目にはかからないのですが、厚生年金保険料は各月のため、3回目にも保険料がかかります。

計算方法は健康保険料の時と同様に標準報酬賞与額で計算します。

標準報酬賞与額×厚生年金保険料率(183/1000)

所得税

最後に所得税の控除額を計算します。

賞与の総支給額から、上記の雇用保険料・社会保険料を控除した額が所得税の対象額です。

そして、前月の給与額に対しての所得税率が賞与に対してかかる税率となります。

そのため、同額の賞与をもらっていたとしても、前月の給与状況や扶養人数によって所得税額は全く異なってきます。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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