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みなし労働時間制の落とし穴 ( 2012.03.14 )
みなし労働時間制の適用をお考えの企業様も多いと思われます。
労働時間の算定が困難な場合に 一定時間働いたとみなす 「みなし労働時間制」は直行、直帰、出張の多い営業職などで 適用されていたことも多かったのですが、携帯電話の普及により、社外にいる社員にも、簡単に連絡がとれるようになり、その適用が制限されるようになりました。
先週3月7日 興味深い判決がニュースになりました。
阪急交通社の子会社、阪急トラベルサポート(大阪市)の派遣添乗員6人が 未払い残業代などの支払いを求めた訴訟判決が、東京高裁でありました。
会社は所定内8時間、所定外3時間の計11時間を1日の労働時間とみなし、それを超える分の残業代を払っていなかったのですが、裁判長は、 「みなし労働制の適用を妥当だが、それを超える部分の残業代は支払え」とした、一審の東京地裁判決を変更し、 みなし労働時間制そのものの適用は認められないと指摘し、 1人当たり計約640万円~約210万円を支払うよう会社に命じました。
旅行の添乗員と言えば 社外での業務ばかりであり、 みなし労働が適用されても、全く問題ないように思えます。
しかし判決では、 添乗員は実際の業務内容について、旅程を記した指示書を受け取っており、また出発や到着時刻などを正確に記載した日報を 会社に提出することが義務付けられており 「労働時間を算定し難いとは認められない」と判断したものです。
阪急トラベルサポートは 「添乗業務の実態からかけ離れた判決で、到底承服し難い」とコメントしました。
同種の訴訟では昨年9月、 東京高裁の別の裁判長も適用を否定する判決を言い渡しています。
労働時間の適正把握は、会社が積極的に行い 管理し、さらに給与面についても適切かどうかを しっかり、行っていかなければ、 企業には、大きな落とし穴になるリスクがあります。
ぜひ、ご注意ください!
【参考】 一審 東京地裁「阪急トラベルサポート事件」判決
添乗員6人が、「みなし労働時間制」は不当として、残業代計2428万円の支払いを求めていた訴訟の判決で、東京地裁は2010.9.29日、みなし労働制の適用を妥当としたうえで、会社側に未払い残業代と付加金計2276万円の支払いを命じた。
(1)「長距離移動の際に休憩を挟める」「出国・帰国の飛行機内で睡眠を取れる」等の点を考慮し、「労働時間の算定は困難」とする会社側の主張を認め、みなし労働制を適用できると判断。
(2) その一方で、みなし労働時間を一律1日11時間とする会社側の主張を「労使間にみなし労働時間に関する合意がなく、会社の一方的な判断」と退け、ツアーの日報などを基に実際の労働時間を算定し、ツアーに添乗した2005年5月~2008年4月の未払い残業代1138万円と同額の付加金の支払いを命じたもの。
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